Thymeleaf Parse Error チェックリスト| 10 秒で特定できる実践手順と対処例
「Thymeleaf でテンプレートを修正していたら、parse errorで画面が真っ白…。どこを直せばいいのか全く分からない」――
そんな場面、私たちエンジニア仲間なら一度は体験していますよね。
案件ごとにテンプレートの構造やルールが異なり、ちょっとした記述ミスが大きな時間ロスにつながる…。
このモヤモヤ、私たちと一緒に論理的に解消しましょう。
用語解説:Parse Error(パースエラー)
テンプレートの構文解析(パース)時に発生するエラー。記述ミスやタグの不整合が原因で、画面が表示されなくなることが多いです。
本記事は、Thymeleaf Parse Errorに悩む現場エンジニアのために
「10 秒で特定できるチェックリスト」「コメントアウトを使った再現性の高い診断法」、そしてチームで共有できる再発防止ノウハウまで、実務目線で整理しました。
1. Parse Error とは? “どこが悪いか”を仕組みで理解
Thymeleaf Parse Errorとは、テンプレートを読み込む際に構文解析(パース)で発生するエラーです。
(Thymeleafの基本やサンプルについては『Thymeleaf入門│Spring Bootで10分実践サンプル5選』をご参照ください)
用語解説:構文解析(パース)
プログラムやテンプレートの記述を、コンピュータが理解できる形に分解・分析する処理。記述ミスがあるとパースエラーになります。
- TemplateInputException
- ParseException
- Exception evaluating SpringEL expression
用語解説:TemplateInputException / ParseException
テンプレートの読み込みや構文解析で発生する代表的な例外。どこで・何が原因かをエラーメッセージから特定します。用語解説:SpringEL
Spring Frameworkで使われる式言語。Thymeleafの th:if や th:each で値や条件を記述する際に利用します。
などが典型的。エラー文のどこを見れば良いのか?
ファイル名・行番号・式やタグ名――この3点をまず確認しましょう。
現場では「th:if」や「th:each」の式部分、HTML タグの書き方ミスが原因で出ることがほとんどです。
用語解説:th:if / th:each
Thymeleafで条件分岐や繰り返し処理を記述する属性。式の書き方や ${} の使い方に注意が必要です。
テンプレートは
- パース(構文解析)
- データバインディング
- レンダリング
用語解説:データバインディング
コントローラなどで渡されたデータをテンプレート内の変数に結びつける処理。用語解説:レンダリング
パース・バインディングされたテンプレートを、最終的なHTMLとして出力する工程。
の順で処理されますが、「1」で詰まるとParse Errorとなります。
2. 代表パターン別|原因リスト&特定フロー
構文ミス(th:if/th:each/式)
なぜか「うまく回らない…」の 9 割は式の記述ミス。
(th:if/th:eachの使い方やよくあるミスについては『Thymeleafの「th:field」とは何か』も参考になります)
<!-- ❌間違い例 -->
<li th:each="item: items" th:if="item.active = true">...</li>
- = は代入。比較には「==」
-
EL 式は
${...}
で括る - コロン
:
とスペースも要注意
<!-- ✅正しい例 -->
<li th:each="item : ${items}" th:if="${item.active == true}">...</li>
用語解説:EL式(Expression Language)
テンプレート内で値や条件を記述するための式。Thymeleafでは${...}
で囲みます。
バインディング変数・フラグメント指定ミス
変数名の typo や、fragment 名・パスずれも王道ミス。
(バインディングやデータ受け渡しの詳細は『Spring Boot のパラメータ受け取り|@ModelAttribute と @RequestBody の違いと使い分け』をご参照ください)
- コントローラでuserListなのに、テンプレートで${users}
- th:replace=”common/header” などパス誤り
用語解説:バインディング変数
コントローラからテンプレートに渡されるデータの変数名。記述ミスや不一致に注意。用語解説:fragment
テンプレートの一部を部品化し、他のテンプレートから呼び出せる仕組み。パスや名前の指定ミスがよく起こります。
HTML タグ構造や整合性の問題
閉じタグ忘れ・ダブルクォート抜け・入れ子ミスも要警戒。
- HTML のフォーマッタやシンタックスハイライトで全体を一度確認
用語解説:シンタックスハイライト
コードの構文ごとに色分け表示する機能。記述ミスの発見に役立ちます。
3. “10 秒診断”|コメントアウトによる特定テク
「どこが悪いか分からない…」ときは、怪しいブロックをコメントアウト → 再ロードで範囲を一気に絞り込みましょう。
用語解説:コメントアウト
コードやテンプレートの一部を一時的に無効化すること。原因箇所の特定やテストに有効です。
手順
- 大きなブロック単位でコメントアウト
- エラーが消える or 残るか確認
- 消えたらさらに小さい範囲で繰り返し
- 最終的に“該当行”やth:属性まで特定
<!-- <li th:each="item : ${items}" th:if="${item.active == true}">...</li> -->
この方法のメリット
- “動く/動かない”で機械的に切り分け、再現性抜群
- 初心者からベテランまで即実践できる
- 一度覚えれば他のエラー特定にも応用可
注意
コメントアウト部分は都度保存・チェックし、チーム開発では「ここを一時的に止めている」とわかる印をつけましょう。
4. 現場で多発する失敗例と再発防止
テンプレート修正時の“落とし穴”
- 複数人での修正でタグが不整合に
- fragment 分割時、依存パスがズレる
- 変数名変更にテンプレートが未追従
修正箇所の周辺・依存ファイルも必ずチェックして下さい。
用語解説:依存ファイル
テンプレートや部品(fragment)が参照する他のファイル。修正時は関連ファイルも確認しましょう。
チームでのレビュー運用ポイント
- 「th:if」「th:each」「fragment」部は重点チェックリスト化
- 修正履歴を必ず残す
- 動作確認だけでなく“構造・バインド”もダブルチェック
チーム全体で「構文ルールの共通言語化」を徹底しましょう。
用語解説:修正履歴
どこを・どう直したかを記録すること。再発防止やチーム共有に役立ちます。
5. 明日から役立つ!再発防止チェックリスト
- th:if/th:each/th:replaceの式ミスなし?
- バインド変数・fragment 名のスペルは正確?
- HTML タグの閉じ忘れ・入れ子エラーは?
- コメントアウトやテストコードの置き忘れはない?
- コントローラとテンプレートで変数名が一致?
運用 Tip:
修正前後で「どこが・どう変わったか」必ず記録を。
チェックリストは現場ごとに最適化して使ってください。
FAQ |“Parse Error”でよくある質問
-
Parse Error の主な原因は?
→ 式やタグの書き間違い・変数名不一致・fragment 名ミスが定番です。 -
エラー文で特定できない時は?
→ コメントアウト法や行番号ヒントを活用し、範囲を段階的に絞りましょう。 -
コメントアウト特定のコツは?
→ 大きく止めてから、徐々に細かく――ブロックを分割して調べてください。 -
th:if/th:each でありがちなミスは?
→ 比較演算子==忘れ、${}抜け、変数 typo です。 -
バインディング変数の確認方法は?
→ コントローラの model 属性名とテンプレート側をセットで見直しましょう。 -
チームで再発防止するには?
→ チェックリスト運用・レビュー範囲の明確化・修正履歴の共有が有効です。 -
テンプレート修正時の注意点は?
→ 依存ファイルもまとめて確認・チームで情報共有が鉄則です。
(Spring Bootのエラー対策や実装例については『Spring Boot NullPointerException完全対策|3大原因と実装例まとめ』もご参照ください)
用語解説:typo
変数名やタグ名のタイプミス。小さなミスが大きなエラーにつながります。
まとめ&まず一歩:迷ったら“切り分け”と“リスト確認”を
Thymeleaf Parse Errorは、ほんの小さな記述ミスでも発生します。
でも原因パターンと特定フロー、コメントアウト診断とチェックリストを身につけておけば、
「どこでハマった?」を 10 秒で見抜き、再発もグッと減らせます。
今日の現場から――まずは気になる箇所をコメントアウトして、このページのリストでひとつずつ点検してみてください。
ぜひコードをコピペして、まずは動かしてみてください。