ES2025 新登場の Promise.try の使い方と実践例|同期・非同期のエラー処理を統一する実践ガイド
はじめに:エラー処理がバラつく理由、心当たりありませんか?
JavaScript 開発でよくある悩みのひとつが「同期関数と非同期関数のエラー処理がバラバラになること」です。
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同期処理には
try/catch
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非同期処理には
.catch()
これらを同時に扱おうとすると、コードが冗長になり、読みづらくなります。
この記事を読めば、ES2025 で導入される Promise.try()
を使って、同期・非同期処理のエラーハンドリングを一貫させ、よりクリーンで読みやすいコードを書けるようになります。
この記事で解決できること
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Promise.try()
が何を解決してくれるのか -
同期・非同期の処理を同じように扱う方法
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よくある誤用と注意点
Promise.try とは?:ES2025 の期待の新機能と構文解説
概要
Promise.try()
は、渡した関数の戻り値が同期でも非同期でも、必ず Promise でラップして返す構文です。
Promise.try(() => doSomething())
.then((result) => console.log(result))
.catch((error) => console.error('エラー:', error));
このコードは、doSomething()
が同期的に値を返しても、非同期的に Promise を返しても、常にその結果を Promise として扱います。これにより、後続の .then()
や .catch()
で一貫した処理が可能になります。
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同期処理 → 関数内で
throw
があればPromise.reject()
に変換されます。 -
非同期処理 → 返された Promise をそのまま扱い、その結果を後続に渡します。
従来の問題点:書き方が分かれていた
try {
const result = maybeSync();
if (result instanceof Promise) {
result.catch((e) => console.error('非同期エラー:', e));
} else {
console.log('同期結果:', result);
}
} catch (e) {
console.error('同期エラー:', e);
}
上記コードでは、maybeSync()
が同期的な値を返すか、Promise を返すかによって、処理を分岐させる必要がありました。これにより、
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同期か非同期かでロジックを分ける必要があり、コードが複雑になります。
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書き方が増えてしまい、メンテナンス性が低下する原因となります。
Promise.try での改善
Promise.try(() => maybeSync())
.then((result) => console.log('結果:', result))
.catch((err) => console.error('エラー:', err));
Promise.try()
を使うことで、maybeSync()
が同期でも非同期でも、上記のように統一された記述で処理できます。
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どちらの処理でも
.catch()
が一貫して使えるため、エラーハンドリングがシンプルになります。 -
余計な判定や
try/catch
が不要になり、コードの可読性が向上します。
実例:キャッシュ付きデータ取得関数のリファクタリング
よくある処理
function getUserData(userId) {
if (cache[userId]) {
return cache[userId]; // 同期返却
}
return fetch(`/api/user/${userId}`).then((res) => res.json()); // 非同期
}
この getUserData
関数は、キャッシュが存在する場合は同期的にデータを返し、存在しない場合は fetch
を使って非同期的にデータを取得する、という同期 or 非同期どちらの戻り方もあり得るパターンです。
従来のハンドリング
try {
const data = getUserData('123');
if (data instanceof Promise) {
data.then((res) => console.log(res)).catch((err) => console.error('非同期エラー:', err));
} else {
console.log('同期結果:', data);
}
} catch (e) {
console.error('同期エラー:', e);
}
従来の方式では、getUserData('123')
の戻り値が Promise かどうかを instanceof Promise
で判定し、それぞれ異なるエラーハンドリングを行う必要がありました。
Promise.try による改善
Promise.try(() => getUserData('123'))
.then((res) => console.log('データ取得成功:', res))
.catch((err) => console.error('エラー:', err));
Promise.try()
を使うことで、同期・非同期を意識せずにエラー処理が統一できるようになります。どのような戻り値であっても、常に Promise チェーンとして扱えるため、コードの複雑さが大幅に軽減されます。
Promise.try はどんな場面で使うと便利か?(ユースケース)
Promise.try()
は、以下のような場面で特に強力なツールとなります。
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キャッシュ層の実装: 上記の例のように、キャッシュヒット時は同期、キャッシュミス時は非同期といった処理を一貫して扱いたい場合。
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プラグインやモジュールの実行: ユーザーが提供するコールバック関数が同期的に例外を投げるか、非同期的な Promise を返すか分からない場合。
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処理の抽象化: 内部的に同期・非同期のどちらの処理が含まれるか分からないユーティリティ関数を、常に Promise ベースで扱いたい場合。
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イベントハンドラ: イベントに応じて同期的に処理が完了する場合と、非同期処理(API呼び出しなど)が必要な場合の両方に対応するイベントハンドラをシンプルに記述したい場合。
よくある誤解と注意点
Q1. Promise.try()
はすべてのブラウザで使えますか?
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いいえ、2025 年時点では一部モダン環境のみ対応しており、まだ広く普及していません。
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現在のプロジェクトで利用する場合は、Babel + Polyfill によるトランスパイルが必要になる場合があります。
Q2. catch を書かなくてもいい?
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必ず
.catch()
を書いてください。 -
.catch()
を書かないと、Promise が Reject された際に未処理の Promise Rejection が発生し、実行時エラーとしてアプリケーションがクラッシュする可能性があります。
ChatGPT × Promise.try:AI でエラー原因も高速特定
非同期エラーが起きたら、そのメッセージを ChatGPT にコピペして原因を調査できます。
Promise.try(() => JSON.parse(undefined)).catch((err) => console.error('解析エラー:', err));
このコードを実行すると、コンソールに以下のエラーメッセージが表示されます。
SyntaxError: Unexpected token u in JSON at position 0
こういったエラーの意味や修正方法を ChatGPT に聞くことで、デバッグ時間を短縮できます。例えば、「SyntaxError: Unexpected token u in JSON at position 0 の意味と修正方法を教えて」と尋ねることで、問題の解決に役立つでしょう。
まとめ:Promise.try でエラー処理の構造を整理しよう
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Promise.try()
を使えば、同期/非同期の区別を意識せず、1 つのエラーハンドリング構文で済むようになります。 -
コードが読みやすくなり、エラー発生時の挙動も予測しやすくなるため、開発効率と保守性が向上します。
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AI との連携(ChatGPTなど)を活用することで、エラー原因の特定もより迅速に行えるようになります。
次のステップ
Promise.try()
をあなたのプロジェクトに導入し、より堅牢でクリーンなコードを目指しましょう。
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実プロジェクトで
Promise.try()
を使ってみる -
古いブラウザ対応のために Babel 環境を整備する
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さらに深掘り → MDN Web Docs: Promise.try()
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関連情報 → MDN Web Docs: try…catch
同期?非同期?を気にせず書けるコードへ。Promise.try は、あなたの開発をひとつ前へ進めてくれます。