インフラエンジニアの仕事内容とは?開発エンジニアが知っておくべきこと
「このまま開発だけを続けていっていいのだろうか?」
そんな風に、将来のキャリアに漠然とした不安を感じたことはありませんか? 日々の運用・保守業務をこなしながら、スキルアップへの道のりが見えづらいと感じているかもしれません。
「インフラエンジニア」という言葉を耳にするたび、「自分もインフラに関わっているのかな?」「もしそうなら、どんなキャリアがあるんだろう?」と考えることもあるでしょう。しかし、ネットで調べても教科書的な解説ばかりで、しっくりくる記事はなかなか見つからないものです。
この記事では、現在開発業務に携わっているエンジニアの視点に立ち、インフラエンジニアの仕事内容を具体的に解説します。インフラエンジニアの業務を通じて、IT システム全体を支える役割の重要性や、この分野で求められるスキル、そしてどんな人が向いているのかを、実務的な視点から紐解いていきましょう。
インフラエンジニアとは?開発エンジニアの仕事とどう違う?
インフラエンジニアとは、IT システムの基盤となるサーバー、ネットワーク、データベースなどの設計、構築、運用・保守を行う技術者の総称です。現在、JavaやSQLを中心に開発業務に携わっている方々も、開発環境の構築や DB
のチューニング、障害対応などでインフラに関わっているかもしれません。
用語解説:インフラエンジニア
ITシステムの基盤(サーバー・ネットワーク・データベースなど)を設計・構築・運用・保守する技術者。安定したサービス提供の土台を支えます。用語解説:サーバー
データやサービスを提供するコンピュータ。Webサイトやアプリの情報を保存・配信します。用語解説:ネットワーク
複数のコンピュータや機器をつなぎ、データをやり取りする仕組み。インターネットもネットワークの一種です。用語解説:データベース
大量のデータを効率よく保存・検索・管理するためのシステム。SQLなどの言語で操作します。
開発エンジニアがアプリケーションという「建物」を作るのに対し、インフラエンジニアは建物が立つ「土地」や「土台」を整える役割を担っています。アプリケーションがどんなに優れていても、土台がしっかりしていなければ安定して稼働しません。
インフラエンジニアの仕事は、主に 3 つのフェーズに分かれます。

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設計: クライアントの要望をヒアリングし、システムの要件定義を行います。どのようなサーバーを何台使うか、ネットワークの構成はどうするかといった、システムの設計図を策定する最も上流の工程です。
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構築: 設計書に基づき、実際にサーバーを立てたり、ネットワーク機器を設定したりする作業です。近年ではクラウド(AWS、Azure、GCP)上での構築が主流になっています。
用語解説:クラウド
インターネット経由でサーバーやデータベースなどのIT資源を利用できるサービス。代表例はAWS、Azure、GCPなど。用語解説:AWS/Azure/GCP
世界的に使われているクラウドサービス。AWSはAmazon、AzureはMicrosoft、GCPはGoogleが提供。 -
運用・保守: 構築されたシステムが正常に稼働し続けるように監視・管理を行います。障害発生時の対応や、定期的なメンテナンス、セキュリティ対策などが主な業務です。
【図解】インフラエンジニアと開発エンジニアの違い
システム開発の現場では、多くのエンジニアが役割分担して働いています。
職種 | 主な業務内容 | 求められるスキル |
---|---|---|
インフラエンジニア | サーバー、ネットワーク、データベースの構築・運用・保守 | Linux、ネットワーク、クラウド(AWS/Azure)など |
開発エンジニア | アプリケーションの設計・開発・テスト | Java、PHP、Python、SQLなどのプログラミング言語 |
インフラエンジニアは、アプリケーション開発で培ったプログラミングスキルに加え、サーバーやネットワークといったインフラ基盤の知識が求められます。
インフラエンジニアに向いているのはどんな人?
インフラエンジニアの仕事は、以下のような特性を持つ人に向いています。
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ロジカルに物事を考えられる人
システム構成を考える上で、複雑な要素を論理的に組み立てる力が必要です。トラブル発生時も、原因を冷静に分析し、解決へと導く力が求められます。 -
知的好奇心が旺盛な人
インフラ技術は日々進化しています。クラウドやコンテナ(Docker、Kubernetes)など、新しい技術を学び続ける意欲が不可欠です。 -
チームで働くことが好きな人
インフラはシステム全体の土台なので、開発チームや他部署と密接に連携します。コミュニケーションを通じて、チーム全体をスムーズに動かす役割も担います。
インフラのナレッジを蓄積するには何を学習すべきか?
インフラエンジニアとして知識を深めるためには、以下の分野の学習が重要です。
- OS(Linux/Windows):サーバー運用の基礎となるため、コマンド操作や設定ファイルの理解は必須です。
- ネットワーク:TCP/IP、DNS、ルーティング、ファイアウォールなど、通信の仕組みを体系的に学びましょう。
- クラウドサービス:AWS、Azure、GCPなど主要クラウドの基本サービスや設計思想を理解します。
- 仮想化・コンテナ技術:VMware、Docker、Kubernetesなど、現代のインフラ運用に欠かせない技術です。
- セキュリティ:認証・認可、脆弱性対策、ログ管理など、システムを守るための知識も重要です。
- 自動化・構成管理:Ansible、Terraformなどのツールを使い、インフラの自動化・効率化を目指しましょう。
用語解説:OS(Linux/Windows)
コンピュータを動かす基本ソフト。Linuxはサーバー運用でよく使われ、WindowsはPCや業務システムで広く利用されています。用語解説:TCP/IP
インターネットやネットワーク通信の基本となるプロトコル(通信規約)。用語解説:ファイアウォール
外部からの不正アクセスを防ぐための仕組み。ネットワークの安全を守ります。用語解説:仮想化
1台の物理サーバー上で複数の仮想サーバーを動かす技術。効率的な運用が可能になります。用語解説:コンテナ(Docker/Kubernetes)
アプリやサービスを軽量・高速に動かすための技術。Dockerはコンテナ作成、Kubernetesは管理・運用に使います。用語解説:Ansible/Terraform
インフラ構成や設定を自動化するツール。Ansibleは構成管理、Terraformはクラウド環境の構築に強みがあります。
これらの分野を体系的に学び、実際に手を動かして検証・構築することで、インフラのナレッジが着実に蓄積されていきます。
インフラエンジニアとして成長するキャリアパス
インフラエンジニアのキャリアは多岐にわたります。
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スペシャリスト: 特定の技術に特化する道です。例えば、AWSやネットワークに深く精通し、その分野の専門家として活躍します。
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ゼネラリスト: システム全体のアーキテクチャを設計するIT アーキテクトや、プロジェクト全体を管理するプロジェクトマネージャーを目指す道です。
運用・保守業務から始まったとしても、そこから設計・構築といった上流工程へとステップアップしていくことができます。重要なのは、ただ作業をこなすだけでなく、「なぜこの構成なのか?」「もっと効率化できないか?」と常に考え続けることです。
まとめ
本記事では、現在開発エンジニアとして働く皆さんの視点に立ち、インフラエンジニアの仕事内容や、求められる人物像について解説しました。
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インフラエンジニアは、システムの基盤を支える重要な役割。サーバー、ネットワーク、クラウドの専門知識が求められます。
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ロジカルに物事を考え、新しい技術を学び続ける知的好奇心があり、チームで働くことが好きな人に向いています。
もし、インフラエンジニアという道に少しでも興味を持ったなら、まずは身近なインフラ環境について考えてみましょう。現在使っている開発環境の裏側はどうなっているのか?なぜその構成になっているのか?小さな疑問から、新たなキャリアの扉が開くかもしれません。
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